チェンバロ-ピアノ-違い

クラシック音楽が好きな方なら、一度は「チェンバロ」という名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。バッハやヴィヴァルディの曲で奏でられる、独特のきらびやかな音色が特徴です。ピアノと同じ鍵盤楽器でありながら、音や見た目は大きく異なります。

この記事では、チェンバロとピアノの違いを6つの観点からわかりやすく解説します。

そもそもチェンバロとは?

チェンバロは15世紀ごろのイタリアで誕生したヨーロッパの鍵盤楽器です。フランス語ではクラブサン、英語ではハープシコードとも呼ばれ、国によって呼び名が異なります。

16〜18世紀のバロック時代に全盛を迎え、バッハやヴィヴァルディ、クープランといった作曲家が宮廷音楽や教会音楽で愛用しました。

18世紀後半にピアノが普及するにつれて表舞台から姿を消しましたが、20世紀以降は古楽演奏の復興とともに再び注目を集めています。現在もバロック音楽の演奏に欠かせない楽器として世界中で演奏されています。

チェンバロとピアノの違いは何?

チェンバロとピアノはどちらも鍵盤楽器ですが、構造や音の出る仕組みが根本的に異なります。以下では、6つの観点から具体的な違いを見ていきましょう。

見た目

チェンバロとピアノは、どちらも横長のボディに鍵盤が並ぶ点は共通しますが、細かく見ると多くの違いがあります。

まず目を引くのが、鍵盤の色です。ピアノは「白鍵が白・黒鍵が黒」が一般的ですが、チェンバロは「白鍵が黒・黒鍵が白や象牙色」と配色が逆になっているものが多く見られます。

これは、18世紀のフレンチ・チェンバロによく見られる特徴で、なかにはピアノと同じ配色や木目を生かしたものも存在します。

鍵盤の段数もピアノは1段ですが、チェンバロは2段鍵盤のものが主流です。上下2つの鍵盤を使い分けることで、ピアノのように打鍵の強弱だけでは変えられない音色や音量に変化をつけられます。

また、鍵盤の数にも明確な差があります。現在一般的に流通しているピアノは「88鍵」と決まっていますが、チェンバロは製作された時代や地域、様式によって異なり、一般的に「40〜61鍵」程度とピアノよりも少なめです。

楽器全体の装飾については、ピアノが黒く重厚なイメージである一方、チェンバロは蓋の内側や響板に美しい絵が描かれたものが多く、まるで美術品のような華やかさがあります。

音の出る仕組み

ピアノは鍵盤を押すと、内部のハンマーが弦を叩いて音を出す「打弦楽器」です。強く弾けば大きな音、弱く弾けば小さな音が出るため、タッチによる強弱の表現が自在にできます。

一方、チェンバロは鍵盤を押すと「プレクトラム(爪)」が弦をはじいて音を出す「撥弦楽器」で、ギターやハープに近い仕組みです。

チェンバロの音は弦をはじく瞬間に鋭い立ち上がりがあり、その後すぐに減衰します。ピアノのように音を長く伸ばしたりペダルで響かせたりすることは、構造上できません。

この仕組みの違いは、練習で身につく感覚にも影響します。ピアノでは鍵盤を押す強さや速さで音を変える感覚を学びやすく、チェンバロでは音の切り方やつなげ方で表情を作る力が求められます。

音色

ピアノの音色は丸みがあって柔らかく、強弱の表現が豊かなのが特徴です。弦を叩くことで生まれる豊かな倍音が、奥行きのある響きを作り出しています。

チェンバロの音色は、琴の弦を爪ではじいたときに近い、きらびやかで輪郭のはっきりした独特の響きです。音量の強弱はほとんどつけられませんが、その分、音の粒のそろった繊細な表現が持ち味で、バロック音楽の世界観を表現するのに欠かせない音色といえます。

クラシック好きの方なら、バッハやヘンデルの曲の中で、この音色を耳にしたことがあるかもしれません。

演奏法

ピアノは指や腕の重さを鍵盤に乗せることで音の強弱を自在にコントロールします。身体全体を使ったダイナミクスの表現がピアノ演奏の醍醐味です。

一方、チェンバロはタッチで音量を変えることがほとんどできないため、音のつなげ方・切り方(アーティキュレーション)を細かくコントロールして音楽的な表情をつける高度な技術が求められます。

子どもが音楽の基礎を学ぶ場合「鍵盤を押す強さで音が変わる」感覚を身体で覚えられるピアノのほうが適しています。

ペダルの有無

ピアノにはダンパーペダルなど3本のペダルがあり、踏むことで音を長く伸ばして豊かな残響を生み出せます。ペダルを使うことで音をなめらかにつなげたり、響きに奥行きを出したりできるため、ピアノでは大切な表現手段になります。

チェンバロにはペダルがありませんが、鍵盤近くのノブで「レジスター」を切り替えることで、音色や音量に変化をつけられます。レジスターは音を長く伸ばすためのものではなく、鳴らす弦の組み合わせを変えて音色を切り替える仕組みです。

1オクターブ上の音を同時に鳴らしたり、2段鍵盤を連動させたりと、独自の音響効果を楽しめる点がチェンバロならではの魅力です。

調律

ピアノの調律は年1〜2回が目安で、専門の調律師に依頼するのが一般的です。自分で行うのは難しく、プロに任せるのが基本です。

一方、チェンバロは弦が細く、構造も繊細なため音程が変わりやすく、毎日〜数日おきの調律が必要です。調律作業の範囲が比較的限られるため、奏者が自分で行います。

家庭でお子さまに習わせる場合、日常的な調律の負担まで考える必要があります。専門家に任せられるピアノのほうが、維持管理の面で扱いやすいといえます。

こちらの記事では、ピアノの特徴や魅力を解説しています。
ピアノの基本的な知識から種類なども取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

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まとめ

チェンバロとピアノは、見た目・音の仕組み・音色・演奏法・ペダル・調律のすべてに違いがある別の楽器です。チェンバロも魅力的ですが、現代の学習環境や練習効率を考えると、まずはピアノからチャレンジするのがおすすめです。

強弱の表現やペダル操作など、ピアノならではの感覚を学ぶことが、お子さまの音楽の基礎を育むことにつながるでしょう。

お子さまの練習環境を整えたい場合は、まずご自宅にピアノを用意するのが現実的な選択肢といえます。とはいえ、いきなり購入することに不安がある方も少なくありません。

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