
ピアノと見た目が似ている楽器の代表として、オルガンがあります。お子さまが学校の授業をきっかけにオルガンを知り「そもそもオルガンとピアノって何が違うんだろう?」と気になった方も多いのではないでしょうか。
両者はどちらも鍵盤を押して音を奏でる楽器です。しかし、音が生まれる仕組みや音色、タッチの感覚、演奏時の表現方法には大きな違いがあります。
この記事では、オルガンとピアノの違いを5つのポイントにわけて分かりやすく解説します。さらに、それぞれの歴史や種類についても紹介しながら、お子さまの練習環境や目的に合った楽器選びの参考になる情報をお届けします。
Contents
オルガンとピアノの主な違い
オルガンとピアノは、どちらも「鍵盤楽器」に属します。見た目は似ていますが、音を出す根本的な仕組みがまったく異なります。まずは5つの観点から、両者の違いを確認してみましょう。
見た目
目で見て分かりやすい違いは、鍵盤の数と楽器全体のフォルムです。
ピアノは、一部の例外を除き白黒合わせて88鍵(白鍵52・黒鍵36)で統一されています。内部に約230本もの弦とそれを受け止める強固なフレーム、大きな響板を備えているため、楽器全体に重厚な存在感があるのが特徴です。
外観は光沢のある黒が主流ですが、白や温かみのある木目調のものも親しまれています。また、足元には音の響きを調節する3つのペダルが備わっています。
一方、オルガンはピアノに比べて鍵盤の数が機種によってさまざまです。鍵盤はピアノより少なめの54〜73鍵ほどが一般的で、1段から多いものでは4段と、階段状に積み重なっているのが大きな特徴です。
足元はピアノのようなペダルではなく、足でもメロディや低音を奏でるための「足鍵盤(ペダル鍵盤)」が30〜32個ほど並んでいます。
学校でおなじみのリードオルガンは、木目調のコンパクトなデザインが主流ですが、教会のパイプオルガンともなると建物の一部のような巨大なものまで存在します。
同じ「鍵盤楽器」という括りであっても、機能に裏打ちされた見た目のデザインは大きく異なります。
音の出る仕組み
オルガンとピアノの最も根本的な違いは、音が出る仕組みにあります。
ピアノは、鍵盤を押すとハンマーが内部の弦を打ちます。この弦の振動が響板に伝わり、空気を震わせることで音が生まれます。ハンマーで弦を叩く構造から、ピアノは「打弦楽器」に分類されます。
一方、オルガンは鍵盤を押すと空気の通り道が開き、空気の流れによって音が鳴ります。リードオルガンならリード(簧)という金属製の薄い板を振動させ、パイプオルガンならパイプの中を空気が通ることで音が出ます。発音の原理としては「管楽器」に近い楽器です。
「弦を叩いて音を出す」のか「空気を通して音を出す」のか、この構造の違いが演奏時の感覚やタッチの大きな差につながっています。
音色
音の出る仕組みが異なるため、音色の特徴も大きく変わります。
ピアノは、鍵盤を離した瞬間から音が自然に小さくなります。この「減衰」する特性が、ピアノらしい豊かな余韻を生み出します。音の強弱の幅が広く、指の力加減ひとつで繊細なピアニシモから迫力あるフォルティシモまで表現できます。
一方、オルガンは鍵盤を押している間ずっと音が持続します。指を離すまで音が途切れないため、なめらかでやわらかい音色が特徴です。学校の合唱の伴奏にオルガンがよく使われてきたのも、歌声とよく溶け合う穏やかな音色のためです。
演奏方法
演奏の仕方にも、両者には明確な違いがあります。
ピアノは、指でどの程度強く、速く鍵盤を打つかによって音量と音色が変わります。強弱は指のタッチで直接コントロールできるため、表現の幅がとても広いのが特徴です。
ペダルは主に3本あり、音を持続させるダンパーペダル、音量を小さくするソフトペダル、特定の音だけを持続させるソステヌートペダルなどがあります。
一方、オルガンは、鍵盤を押している間ずっと音が鳴り続けるため、指を離すタイミングのコントロールが演奏の要です。音の強弱は指の力では調整できず、ストップ操作や足元のエクスプレッションペダルで変化をつけます。
ピアノを習うことで、音楽の基礎となる「強弱の表現」が指のタッチを通じて自然に身につきます。
楽譜
使う楽譜の段数にも違いがあります。
ピアノでは、右手と左手それぞれの音符を記した2段の楽譜(大譜表)を基本として使います。初心者向けの楽譜も豊富に揃っており、学習環境が整っています。
一方、パイプオルガンや電子オルガンの楽譜は、右手・左手に加えて足鍵盤用の段が加わり、3段構成になることがあります。読み解く情報量が多く、初心者向けの教材も限られています。
お子さまが音楽を始める場合、教材の充実度という観点からも、ピアノから入るのがスムーズです。
オルガンとピアノ、難しいのはどっち?
「どちらが難しいか」という問いに、一言で答えることはできません。どちらにも独自の技術が求められるからです。
ただし、子どもが最初に習う楽器として考えると、前述のとおりピアノのほうが取り組みやすい環境が整っています。指のタッチで強弱を表現できるため、感情を音に乗せる感覚がつかみやすいうえ、初心者向けの教材も豊富です。
オルガンは、音を持続させながら指を離すタイミングを管理するという独自の技術が求められます。足鍵盤の操作やストップの切り替えなど、ピアノにはない要素も多く、初心者向けの教材が少ない点もハードルになります。
一般的な学習環境と教材の充実度から考えると、まずはピアノから始めて音楽の基礎をしっかり身につけるのがおすすめです。
ピアノの歴史と種類
ピアノへの理解をさらに深めるために、歴史と種類も確認しておきましょう。
ピアノの歴史
ピアノが誕生したのは、今から300年以上前のことです。イタリアの楽器製作家バルトロメオ・クリストフォリが、当時の鍵盤楽器では実現できなかった「音の強弱表現」を追い求め、新しい楽器を生み出しました。
クリストフォリの発明によってはじめて、鍵盤楽器で演奏者の感情を豊かに表現できるようになったのです。
その楽器の名前「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(弱音も強音も出せるチェンバロ)」が、のちに「ピアノ」と略されました。
その後、ピアノは改良を重ねながらヨーロッパ各国に広まります。モーツァルトやベートーヴェン、ショパンといった作曲家の手によって、音楽表現の幅を大きく広げていったのです。
ピアノの種類
現在、一般的に普及しているピアノは、グランドピアノ・アップライトピアノ・電子ピアノの大きく3種類にわかれます。
- グランドピアノ
弦を水平に張った大型のピアノで、コンサートホールや音楽教室でよく使われます。鍵盤の戻りが速く、繊細な表現が可能です。
- アップライトピアノ
弦を垂直に張ったコンパクトなピアノで、家庭や学校に多く設置されています。設置スペースを抑えやすく、家庭での練習用として最もおすすめの選択肢です。
- 電子ピアノ
スピーカーから録音された音を再生する電気楽器で、アコースティックピアノとは発音の仕組みがまったく異なります。
電子ピアノは、ヘッドフォンを使えるなどの利便性がある一方で、アコースティックピアノのような「鍵盤を叩く力が音色に直結する感覚」の演奏とは異なります。
電子ピアノとアコースティックピアノは、見た目が似ていても楽器としての性質は根本的に違うのです。
こちらの記事では、アップライトピアノについて解説しています。
メリット・デメリットや選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
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オルガンの歴史と種類
オルガンには、ピアノよりはるかに古い歴史があります。
オルガンの歴史
オルガンの起源は紀元前3世紀頃まで遡ります。古代ギリシャ・アレクサンドリアで、水圧を利用してパイプに空気を送る「ヒュドラウリス」と呼ばれる楽器が発明されたのが始まりです。
その後、中世ヨーロッパでキリスト教の普及とともにパイプオルガンが教会に広まり、礼拝の音楽に欠かせない存在となりました。
バッハをはじめとする多くの作曲家がオルガン曲を残しており、音楽史で重要な役割を担ってきた楽器です。鍵盤楽器の歴史においては、オルガンこそがその元祖ともいえます。
また、オルガンの技術はチェンバロやクラヴィコードに受け継がれ、やがてピアノへとつながっていきました。
オルガンの種類
オルガンにはいくつかの種類があります。ここでは、パイプオルガン・リードオルガン・電子オルガンの3種類を紹介します。
- パイプオルガン
大きなパイプへ空気を送って音を出す楽器です。教会やコンサートホールに設置されることが多く、荘厳な音色が特徴です。
- リードオルガン
金属製のリードを空気で震わせて音を出す楽器で、足元のペダルで空気を送る「足踏みオルガン」として、かつて多くの小学校の教室に普及していました。「学校のオルガン」として記憶しているのは、このリードオルガンです。
- 電子オルガン
電子回路で音を作る楽器で、ヤマハの「エレクトーン」が代表的です。さまざまな音色が出せるうえ、マルチトラック演奏も楽しめます。
まとめ
オルガンとピアノは、空気を送って音を出すか、弦を叩いて鳴らすかという仕組みから演奏方法まで、根本的に異なる楽器です。指先の繊細なタッチで豊かな強弱表現を学べるピアノは、お子さまの音楽的センスを育む情操教育の場において、非常に適した選択といえます。
「本物のピアノは高価で手が出しにくい」「まずは電子ピアノで十分」と考える方もいるかもしれません。しかし、録音された音を再生する電子ピアノと、指の力が直接音色に反映されるアコースティックピアノは、楽器としての性質が大きく異なります。本物の音とタッチに触れる環境こそが、上達への一番の近道です。
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